Homura's odekake diary

地理と地学と聖地巡礼

等々力巡検 - 2025/02/03

本稿では、2025年2月3日に実施した多摩川下流域における巡検の結果を報告します。

1.巡検の概要

巡検の概要は以下の通りです。私が所属する早稲田大学と某女子大との合同巡検でした。

実施日:2025年2月3日

目的:多摩川下流域の河成段丘と微地形について学ぶ

ルート:等々力駅―田園調布―六郷用水―等々力渓谷等々力駅二子玉川駅(昼食)―下宿バス停―次太夫堀公園―成城学園駅。本巡検のルートを以下に図示します(図1)。

2.巡検の結果

2-1.等々力駅 0832

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でんちゃです。シュポポポポ。
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おもしろいお店がありました。住宅街の中にポツンとあったので、地域コミュニティの固定客を目当てに経営しているんでしょうね。
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いきなり重機の写真ですが、これはYBM社のECO-3Vという土壌地下水汚染調査機です。ボーリング調査としては簡易な方式ですが、土地の売買に関する法律が改正され、土壌汚染が発覚した場合売主ではなく買主に責任が発生するようになったため、今後はPFAS汚染調査等に広く使われるようになる調査方法なのだそうです。また、半日かけてヤグラを設営する本格的なボーリング調査は、人件費等を考慮すると現実的ではありません。

巡検は、見学する機会が非常に貴重であるボーリング調査の様子を見学することが主目的の1つでした。
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このスロープの先の地層を掘ります。

この地点は等々力渓谷が形成される前につくられた段丘なのだそうです。住宅地である当地での調査が実現したのは、対象地はJA世田谷が主体となって区が借り上げた土地を利用した市民農園であり、農閑期であったからです。f:id:tankettetan:20250204185344j:image

パンツァーフォー!
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掘削器具が展開されました。作業員は当然プロの方々で、慣れた手つきで作業を進めていました。
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掘削が始まりました。ドリルが動き始めた瞬間、排気ガスの臭気と地震動と掘削音を同時に感じました。

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採取されたボーリングコアです。ソーセージの皮のような役割を果たすビニールに入った状態で取り出されます。掘削機械が打ち込むパイプには畳まれたビニールが入ったシリンダーが取り付けられており、地中に進むにつれビニールが伸長していきます。

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「工事件名:世田谷区等々力農園における沖積層ボーリング調査 NTU-STTD-1 残尺=1.00m 2025年2月3日 施工者:帝京科学大学」。
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「2025年度 等々力体験農園新規入園者募集」。09:28にボーリング調査の見学を終え、教員の先導で歩き始めました。

2-2.等々力渓谷公園直上の橋 0942
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等々力渓谷公園。
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倒木のため立入禁止となっています。

等々力渓谷において露出している地層は上総層群の高津層と呼ばれる地層なのだそうです。高津層は約100万年前の地層で、海成の沖積層です。灰色で固いのが特徴で、建築用語では「土丹」と呼ばれるそうです。

この橋の周辺には、スダジイケヤキなどの植生がみられました。ケヤキは原生のもので、ケヤキは落葉しており、スダジイは常緑樹であるため落葉していませんでした。

2-3.段丘崖 - 逆川(暗渠) 0947
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この微少なスロープは段丘崖由来のものであるのだそうです。この付近を流れていた逆川は、等々力渓谷の形成により東から北へ流路が変わったのだそうです。

この付近で、武蔵野Ⅱ面の下にある逆川の暗渠を見ました。逆川は、久保純子先生が指摘する「名残川」の1つに位置づけられ、河床には泥の堆積が想定されるようです。

2-4.尾山台中学校東北端 1008
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尾山台中学校では、引率の教員が去年8月にボーリング調査をしたそうです。この写真の反対側の方角にある九品仏駅はM面上にあるのだそうです。ここには約3万年~9,000年前の間に川が流れていたそうなのですが、正確な時期の特定には至っていないそうです。冒頭で見学したボーリング調査はその時期を推定するために行なっているものなのだそうです。

2-5.田園調布台 1027

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田園調布台に着きました。田園調布台は海成の台地です。縄文時代後期の「奥沢台遺跡」の標柱がありました。

ここでの解説で、引率の教員が「崖は時間差を示す」と仰っていたのが印象的でした。

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2-6.玉川浄水場 1034
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玉川浄水場です。この浄水場は田園調布台・下末吉面のあたりに位置します。一般に、水道施設は比較的標高の高い場所に造られる傾向があり、玉川浄水場はこの付近でいちばん標高の高い田園調布台に置かれたのだそうです。

ここからはM面に向かって下り坂を歩きました。

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「守ろうよ わたしの好きな 街だから」「安心して住める街 玉川をめざして」。
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住宅地の中ではあまり印象の良くない資材置き場であるため、標語の掲示によってイメージを和らげようとしているのでしょうか。

2-7.六郷用水 1051
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六郷用水沿いの道まで来ました。六郷用水は、1600年代に造成された用水路で、現在は同用水路に架けられた「勝手橋」の老朽化が問題となっているそうです。

六郷用水が流れているのは台地の崖下に位置する沖積低地です。歴史時代に造成された用水路の多くは台地の崖下に造成されています。
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台地のそばの沖積低地にあって、地下水が豊富に得られるため、民家の敷地内に井戸が設けられています。
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水道の改良工事?が行われていました。
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入れない公園。
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公園の一角で、ヤグラを設営して行う本格的なボーリング調査が行われていました。
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氾濫危険水位の表示。この撮影地点は等々力渓谷の近くです。渓谷なので当然ですが、大雨の際には集水が高速で進み、氾濫の危険が大きくなります。

2-8.ローム層の露頭 1125
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関東ローム層の露頭がありました。露頭にロームが含まれていれば、その露頭は段丘崖であることがわかるのだそうです。
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このような露頭は原当麻駅のあたりでしか見られないものと思っていましたが、探せばあるものなのですね。
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TVアニメ「恋する小惑星」のキャラクター「猪瀬舞」のアクスタと一緒に記念撮影。

2-9.等々力渓谷公園 1130
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等々力渓谷公園に戻ってきました。
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夏に来たときよりも植生による被覆が少なく、露頭観察がしやすくなっていました。
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この露頭において注目すべきは、MIS 6~5と推定される東京層(=世田谷層、≒厳密には異なるが渋谷粘土層)が含まれることなのだそうです。世田谷層は内陸に入り込み、谷沿いに分布していることが知られており、最近は地質学雑誌に論文が載ったそうです。

ここでは5分かけて露頭のスケッチを行いました。層序は下から順に、約3mの岩が多い東京層、約5-6mの武蔵野礫層、約3mの薄茶色の関東ローム層でした。

2-10.二子玉川駅 1208
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「都市と豊かな自然が調和した街」「二子玉川ライズ S.C.で働く5つの魅力」。等々力駅から二子玉川駅まで電車で移動し、各自で昼食をとることになりました。引率の教員は東京都市大学の学食に目星をつけていたそうなのですが、春季休業中で利用できなかったそうです。
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海鮮料理店でキングサーモン丼を食べました。この量で1,000円以上取られたので二度と行きません。早稲田なら600円でこれの2倍の量が食べられます。

2-11.下宿バス停 1335
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二子玉川駅からバスに乗り、下宿バス停にて下車しました。喜多見地区をしばらく歩いていると、高齢者福祉施設の送迎バス群が目につきました。

2-12.野川 1338
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野川です。北を流れる仙川とは、下流の野川遺跡のあたりで合流しています。野川遺跡は旧石器時代の遺跡です。
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いかにもな暗渠がありました。これには女子大の学生も目を輝かせていましたね。
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野川は「名残川」であるのだそうです。野川の流路には、野川の流量・流速(運搬力)では運べない、つまりこの川が運んできたものではない大粒径の礫が多くみられるそうです。このような河川は、野川の他には町田の境川などがあるそうです。
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野川沿いに立地する次太夫堀公園の案内板です。
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何の変哲もない写真ですが、左奥にある駐車場はTc面の上にあります。写真をよく見ると、駐車場右手の道路が非常に緩いスロープになっているのがわかります。
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ここにも、高齢者福祉施設「友愛デイサービスセンター」の送迎バスが複数台駐車していました。月極有料の駐車場ですが、福祉施設の車輌であるため、おそらく割安で契約できていると思います。

2-14.M面崖 1422
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歩道橋の上からM面の崖がよく見えました。
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非常にわかりやすい標高差です。
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最後に、早稲田の胸突坂に匹敵する急勾配の坂を全員で登り、成城学園前駅に向かいました。高級住宅地であるため、LAWSONのファサードが景観に配慮したデザインになっています。
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この地点で解散しました。

3.まとめ

巡検では、多摩川下流域の河成段丘と微地形について学ぶとともに、非常に貴重なボーリング調査の見学を行うことができました。この場を借りて、巡検を主催した先生に感謝を申し上げます。

天候に恵まれず、冷え込む中での巡検となりましたが、それを補って余りある成果が得られたものと確信しています。4月から所属する農山漁村地理学・人口地理学ゼミと地形学ゼミでは、実地に学ぶ姿勢をもって研究にあたる決意を新たにしました。